◆特殊支配同族会社の役員給与損金不算入
(平成18年税制改正)
(MapsPress/2006.06)
税務署で配られている平成18年度税制改正パンフレットには、まず1ページ目から"役員給与について損金算入される範囲の見直しが行われました。"とあります。
その一つ目が前回の定期同額給与・事前確定届出給与であり、今回は二つ目の特殊支配同族会社の役員給与損金不算入についてです。

特殊支配同族会社が業務を主宰する役員に対して支給する給与の額のうち給与所得控除額に相当する部分として計算される金額は、損金の額に算入しないこととされました。
 ただし、特殊支配同族会社の基準所得金額が一定の金額以下である事業年度については、適用されません。

一定の条件にあてはまる場合は、オーナー役員への給与のうち給与所得控除額は法人税計算上経費とはならない、ということです。

次の3つの条件すべてに該当する会社になります。
@ 同族会社である。
A オーナー(業務主宰役員*)とその親族などの関係者で、発行済株式総数の90%以上を保有している。
B常務に従事する役員*のうちに、オーナー(業務主宰役員)とその親族などの関係者が過半数を占めている。

@→法人税申告書の別表二に記載されています。
                     同族会社に〇がある・・・ Yes ・ No
A*業務主宰役員とは、経営の実権を握っている役員、対外的にも会社の事業の中心になっている役員をいいます。同じ状況である役員が2人以上いる時は、給与などから判断してどちらか一人ということになります。

 →法人税申告書の別表二で、業務主宰役員とその親族等の株式数を合計します。
              合計(  )株÷発行済株式総数(  )株 
                       =     %  ≧90%ならば該当。

B*常務に従事する役員とは、日常業務に日々携わっている役員が該当します。一概に『常勤』『非常勤勤』で区別することもできませんが、『非常勤』役員はたいてい除外されます。

→@
役員名簿から常務に従事する役員をピックアップします。   (  )人
 Aそのうち業務主宰役員とその親族等の人数を数えます。 (  )人
 B @/A =     %   
                  >50%ならば該当します。


上記の全てに該当した場合、

基準所得金額が3,000万超の場合、
または800〜3,000万円であるが、一定の条件に該当する場合 
の事業年度について適用があります。

*基準所得金額とは、前3年事業年度の 所得金額+業務主宰役員の給与 の平均をいいます。

過去3年分の法人税申告書別表一、勘定科目内訳書M を用意します。

@過去3年分の法人税申告書別表一[1]の金額の合計          円
A過去3年分の業務主宰役員への役員報酬の合計            円
B(@+A)/3 =        円
 

 この結果が    
→ <800万円 ・・・該当しません。

→ >3,000万円 ・・・該当します。

→ ≦3,000万円・・この場合はさらに
A/(@+A)=(   )%>50% で該当します。


※ 過去に赤字の年が有る場合には、この方法だけでは判断できないケースがあります。詳しくはご相談下さい。

その事業年度の業務主宰役員の給与で、次の金額が法人税計算上所得に加算されます。

業務主宰役員給与額

損金不算入となる金額

650,000

業務主宰役員給与額の全額

650,001円〜 1,800,000

業務主宰役員給与額×0.4

1,800,001円〜 3,600,000

業務主宰役員給与額×0.3180,000

3,600,001円〜 6,600,000

業務主宰役員給与額×0.2540,000

6,600,001円〜10,000,000

業務主宰役員給与額×0.11,200,000

10,000,001円〜

業務主宰役員給与額×0.051,700,000

 月100万円の役員給与に対して約20万円が法人税計算上経費にならないことになります。

〇対策?
上記の要件に該当しない会社であれば問題にはならないわけですが、要件から外れるために第三者に株を譲るなどの対策を考えているかもしれません。

@ 年度末までに15%の株を第三者に売却するA第三者に役員になってもらう、など方法は考えられますが、同族会社の行為計算否認規定の適用が十分考えられますので注意が必要です。節税目的の行為であってはダメ、ということになります。
新会社法により、最低資本金制度の撤廃・株式会社における取締役数の制限がなくなり、これにより取締役1人のみの株式会社設立が可能になりました。
個人事業者取締役1人の株式会社が、形式のみの違いで実質はあまり変わらないといった状況が考えられます。

個人事業者は所得税、株式会社は法人税が課されますが、所得税は累進税率課税(最高37%)・法人税は一定税率課税(30%)であるため法人税のほうが納税有利になるケースが出てきます。

そのため個人事業者から法人成りするケースが想定されることから、納税有利になるような条件に該当する場合には法人税負担を増やすことで調整を図ろう、ということにより生まれた規定のようです。

会社の設立を容易にしようとした新会社法の趣旨とは反していますよね。

〇独立・起業を考えている方は
起業・起業を考えている方は、個人事業者で申告するか、株式会社を設立して法人で申告するか悩みどころです。
売上・経費の予測を立てて納税額を試算してみるのは良い方法でしょう。

例)年間の売上 3,000万円・経費 1,000万円と予測。残り2,000万円は個人の所得(給与)とするケース

個人事業者
 売上     3,000万円
 経費     1,000万円

 所得    2,000万円

税率 
37(1,800万円超)
控除額△
249万円

所得税    491万円

法 人
売上     
3,000万円
経費     
1,000万円
人件費    
2,000万円

所得       
0

法人税       
0


給 与
給与     
2,000万円


給与所得控除 △
270万円
給与所得   
1,730万円
所得税率    
30
控除額△
123万円

所得税     396万円

税額合計
所得税   
491万円

合計    491万円

税額合計
法人税     
0
所得税   396万円
合計    396万円

法人の場合で特殊支配同族会社の
役員給与損金不算入の規定の適用
がある場合は、次のようになります。⇒

法 人
  
売上     3,000万円
  経費    △1,000万円
  人件費   △2,000万円


    役員給与+ 270万円
       
(給与所得控除
)

       所得
270万円

  法人税率
22(800万円迄)
  
法人税      59万円

給 与
上記と変わらず。
  所得税     396万円

税額合計
法人税    59万
所得税   396万円

合計    455万円

●TOPへ>   ●税金インデックスへ>