大きな声では言えないけれど・・・
「家の父親が死んだら税金かかるのかな?」
I財産評価・・土地の利用状況による評価

被相続人が所有していた宅地は、いろいろな形態で利用されていました。
その土地に本人やその家族が居住していた。
その土地でお店を営業していた。
子供の家族が居住する家の土地であった(賃料はもらっていない)。
アパートを建築し賃貸していた。
貸地であった。 など・・・

また、被相続人が土地を所有してはいないが、
地主から土地を借りて居住していたり、
アパート経営をしていたり、という場合もあります。

それぞれの所有形態と利用状況で「評価」の金額が違ってきます。

主な算式を挙げると次の表のとおりになります。

自用地

路線価方式や倍率方式により評価した金額

貸家建付地

自用地評価×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

貸宅地

自用地評価×(1−借地権割合)

借地権

自用地評価×借地権割合

貸家建付借地権

借地権の価額×(1−借家権割合×賃貸割合)

では具体的な計算を見てみましょう。
まず、前回の「路線価方式」「倍率方式」で評価を算定し、
次に利用状況によって計算をします。
計算の前提条件は次のとおりとします。

  路線価方式での評価額・・・8,000万円の土地 

  借地権割合・・・70

  借家権割合・・・30

  貸家の賃貸割合・・・100

●自用地の評価

被相続人が所有し、
「本人が居住していた」
「お店を営業していた」
「子供に無償で貸していた」土地は、
自ら自由に利用・処分ができる土地です。
他者が利用する権利が何も発生していませんので、「自用地評価」になります。

路線価方式で評価した金額が8,000万円であれば、その金額がそのまま評価額となります。

ただし、「本人が居住していた」「お店を営業していた」場合には、
相続人の生活も保障しなければなりませんので、
「小規模宅地等の課税価格の計算特例」が適用できます。

●貸家建付地の評価

貸家の敷地のように供されている土地を「貸家建付地」といいます。
アパートの敷地や、賃貸マンションの土地の敷地権などで、
評価の計算式は
次のようになります。

自用地評価×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

  8,000万円×(1−70%×30%×100%)= 6,320万円

●貸宅地の評価

貸地として賃貸し、借地権の目的となっている土地は「貸宅地」として評価します。
評価の算式は次のようになります。

自用地評価×(1−借地権割合)

  8,000万円×(170%)= 2,400万円

●借地権の評価

借地として賃借し、借地権が設定されている土地は「借地権」として評価します。
評価の算式は次のようになります。

  自用地評価×借地権割合

  8,000万円×70%= 5,600万円

●貸家建付借地権の評価

借地として賃借し、借地権が設定されている土地に、アパートを建築し賃貸している場合、
「貸家建付借地権」として評価します。評価の算式は次のようになります。

借地権の価額×(1−借家権割合×賃貸割合)

  5,600万円×(1−30%×100%)= 3,920万円

このほか、「転借権」や「転貸借地権」、
土地の利用が制限されている場合の「区分地上権」などの評価があります。

また、平成4年から施行されている「定期借地権」についても、
別途評価方法が定められています。