被相続人が居住していた土地を、配偶者や同居をしていた子供に相続するとき、
多額の相続税が課税されてしまうと、
残された遺族の生活が「相続税」に脅かされてしまいます。
相続後の生活を保障するため、
「被相続人が居住していた」あるいは「事業をしていた」宅地等については、
評価額を減額する特例が設けられています。
主な例を挙げてみました。

ここで注意することは、
被相続人の所有していた宅地等のすべてにこの特例が適用できるわけではなく、
面積の制限があることです。
次に掲げる表がその制限です。

例えば、居住用の宅地等(300u)のうち240uについて
「特定居住用宅地等」として特例を適用した場合には、他の特例は適用できません。
逆に、「特定居住用宅地等」を100u適用し、
その他にアパートの敷地が100uあれば「不動産貸付業等の事業用地」として
適用することができます。
複数の土地を所有している場合には、
次の算式による合計面積が400uを超えないことが必要です。
A+(B×5÷3)+(C×2)≦400u
「どの土地に特例を適用すれば一番税金が少なくなるか?」
いろいろなパターンを計算し、有利な方法を選択することになります。
*特定居住用宅地等とは
・被相続人の配偶者が取得する。
・被相続人と同居していた親族が相続し、申告期限まで引き続きその家屋に居住する。・上記のほか、配偶者や同居していた法定相続人がいない場合、相続開始前3年以内 に日本国内にある自己の所有する家に居住したことが無い親族にも、一定の要件 のもと特定居住用宅地等の特例が適用できます。
*特定事業用宅地等とは
・その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、
かつ、その申告期限までその事業を営んでいる事業承継要件と、
その宅地等を相続税の申告期限まで有している保有継続要件を満たす宅地等。
*特定同族会社事業用宅地等とは
・相続開始の直前から相続税の申告期限まで、
同族会社の事業(不動産貸付業、駐車場業などを除く)の用に供されていた宅地等。
株式の保有や役員の要件もありますので、詳細は専門家へお尋ね下さい。
これらの規定は、宅地等を取得した人が2人以上いる場合には、
そのうち1人でもいずれかに該当する親族がいれば、その宅地等の全体に適用できます。
また上記のほかに、
被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住用、事業用の宅地等にも特例適用があります。
例えば、父子が同居の生活をしており、父の所有する土地建物で、
子供が商売をしている場合です。
父の所有する土地建物は、父子の生活の基盤になっているわけですから、
特例を適用し、相続税額の減額を図っています。
「特定事業用資産の特例」との関係
非上場会社の株式で、相続や遺贈により取得した「特定同族会社株式等」についても、
一定の要件のもと10%減額できる制度があります。
しかし、小規模宅地等の特例と併用する場合には、
小規模宅地等の適用面積に余裕がある場合に適用できます。
同族会社の株式を相続する場合には、
「特定事業用資産の特例」の適用とどちらが有利になるかの検討も必要です。
(同族会社の株式の評価は非常に難しいため、会社の顧問税理士に問合せしましょう。)
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